たねがしまロケットマラソン

種目距離公認大会HP一口メモ
ランニング
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非公認 大会ホームページへ 前日の種子島宇宙センターの見学は必見です。

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たねがしまロケットマラソンのフルマラソンコースは過酷だ。北西部のよきの浜から南東部の種子島宇宙センターまで、種子島をななめに横切るワンウェイのコースで、その大半を島中央部の山越えに費やす。この山越えの区間のアップダウンは激しく、フラットな部分はほとんどない。上っているか、下っているか、そのどちらかだ。しかも、中央部の山を越え、やっと東海岸に出たと思ったら、35km付近でもう一つ急峻な山を越えなければならない。ここで残り少ない体力の最後の一滴まで搾り取られる。ラスト5kmがとてつもなく長く感じられる、、、日本屈指の難コースと言っても過言ではないだろう。

記録を狙うのは難しい。が、完走したときの達成感はこの上なく大きい。宇宙飛行にも似た壮大なミッションを完遂(コンプリート)した気分だ。ゴールテープの先にいる君は以前の君ではない。「このあとどんな過酷なことにもくじけない」。そんな自信に満ち溢れていることだろう。

でもこのコースに費やす数時間を苦しみながら走るか楽しみながら走るかは君次第だ。ちょっと周りを見てみよう。ワンウェイのコースのため、景色は次々と変わり、飽きることは無い。海岸、山、田んぼ、サトウキビ、メヒルギ、、、様々な景色、様々な種子島を堪能できる。エイドには種子島の特産品が置いてある。(残念ながら焼酎は置いてない)。
なんせ島の約3分の2を走破するのだ。観光を兼ねていると思えば、あっという間の数時間になるはずだ。楽しいときには時間は早く過ぎるものだから。

以下、この過酷なコースを解説する。キーワードは「二段ロケット」だ。

スタート前

雨対策

このレースに限ったことではないが、レース当日の天候に合わせた準備とお通じの調整とが大切だ。

雨のときには、いつ捨てても良いような安い透明のビニールのレインコートを羽織ってスタートすることをお勧めする。100円ショップで売っているレインコートでも良いし、ゴミ袋に首と袖を通すための穴を開けたものでも良い(写真)。いずれにしても、外からゼッケンが見えるように透明なものが望ましい。温かい雨のときもあれば、冷たい雨のときもある。もし、雨が温かく、あるいは、体が十分温まって、汗をかくようであれば、途中のエイドでレインコートを脱ぎ捨ててしまえば良い。
雨の日には風向きにも注意しよう。たねがしまロケットマラソンのコースは北から南への直線的ワンウェイであるため、スタートからゴールまで風向きが変わらない。南風のときには、終始向かい風となり、思った以上に体力を消耗するし、体も冷える。レインコートは風の抵抗を受けやすいため、着るべきか否か悩むところではあるが、やはり羽織って走るようにした方が良いと思う。

一方、晴れたからと言って、天候に恵まれたとは言い切れない。脱水症状と戦う過酷なレースが待っている。油断するなかれ。

フルマラソンのスタート地点のよきの浜までは、地元の人でない限り、大会の送迎バスを利用することになる。このバスの出発時刻が意外と早い。9:00のスタートに対して、南種子町の出発時刻は6:10、西之表市の出発時刻は6:30と7:00。皆一斉に到着し、そこで朝食とトイレも一斉に済ませることになるのだが、トイレの設置台数が意外と少ない。筆者は便通を夜型になるようにシフトし、レース前日も夕食後にトイレを済ませ、スタート前に大きい方をしなくても済むように調整した。「ストッパ」のような排便を抑制する薬を服用している人もいる。いずれにしても何らかの対策が必要と思われる。

スタート~10.7km(雄龍雌龍の岩公園)

3丁の火縄銃の号砲でスタート(ビデオ)。スタートラインの50m前方に並んで空砲を撃つ。たねがしまロケットマラソンならではの光景だ。その様子が見たいのならば、スタートライン近くに並ぶしかない。その場合、周りの人は鉄砲玉のように飛び出すので、合わせてスタートダッシュをする必要があり、注意が必要だ。

スタートから最初の給水ポイントのある雄龍雌龍の岩公園(おたつめたつのいわこうえん、10.7km地点)までは、このコースの中で最も走りやすい部分。多少のアップダウンはあるが、このあとのアップダウンと較べれば「フラット」と言っても良いくらいだ。右に海を見ながら海岸線を走るので景色も良い。マイペースで楽しく走ろう。

雄龍雌龍の岩公園では、これから乗り越えなければならない難所に備えてしっかり給水・給食を摂ろう。そして、種子島の守り神である雄龍雌龍に手を合わせて再出発。必ずや御加護あらん。

10.7km~25km 島中央部の山越え

雄龍雌龍の岩をあとにして、小さな町を通り抜けると、道は海岸線を離れ、内陸部に向かう。いよいよ中央部の山越えだ。

種子島は「平たい島」と形容される。隣の屋久島の最高地点が標高1935mに対して、種子島のそれは標高282mしかない。この山越えもたかだか100mに過ぎない。でも、侮ってはいけない。この100mを一気に上るのではなく、アップダウンを何度も繰り返しながら、徐々に上っていくのだ。フラットな部分はほとんど無く、上っているか、下っているか、そのいずれしかない。下り坂の先には、上り坂が見える。「ああ、あの坂を上るために今下っているんだな」。そんな気分になる。ネガティブ思考に陥ると、標高に反比例して気分は下降気味だ。「苦あれば楽あり」。見えない先の下り坂を思いながら上り坂を上ろう。

ただし、ここですべての燃料を使ってはいけない。ここで噴射するのは1段目のロケットだ。2段目のロケットは温存しておくこと。

ビデオは16km付近の長く険しい坂。

25km~34km 東海岸

東海岸へ至る下り坂

山越えの終わりは唐突にやってくる。遠くに海、右手に原生林を見下ろし、目の前に下り坂が続く。その先に上り坂は見えない。「ああ、もう上らなくていいんだ。さっきのが最後の上り坂だったんだ。山を越えたんだ。東海岸に出たんだ」。坂を下りながら徐々にうれしくなってくる。足取りは軽く、この坂は本当に気持ちよい(写真)。

ここから先、34km地点まで、つかの間の休息だ。熊野海水浴場の白い砂浜、南国風情を醸し出すメヒルギ自生林やヤシの木、早くも田植えを終えた田んぼなどを眺めながら、比較的フラットな道を楽しく走ろう。

34km~36km 第2の山越え

第2の山越えの始まり

34kmの距離標識の先に、ゆっくり右に曲がった上り坂が見えてくる。種子島の守り神の龍の尻尾のように。いよいよ第2の難所である(写真)。

中央部の山越えとは異なり、今度は一気に80m駆け上がる。25階建てのビルの階段を駆け上がるのと同じだ。坂は大きく2つに分かれていて、途中踊り場のようなところもあるが、全体的に傾斜は急だ。足をしっかり上げないと前に進まない。燃料はちゃんと残っているだろうか。ここが2段目のロケットを噴射させる時だ。約2km弱、10~15分間、足を動かし続ければ頂上だ。

ありがたい事に、坂の途中35km地点に給水ポイントがある。燃料切れの人はここできちんと補給しよう。

36km~ゴール

ゴール

左前方の視界が開け、もこもことした森を見下ろす地点が、上り坂の終点だ。左にゆっくり曲がると、これまで上ってきた坂とちょうど同じような傾斜の下り坂が始まる。残り5km。足が残っていれば、ラストスパートしたいところだ。

実は、41km地点、そして、種子島宇宙センターに入ってからも上り坂がある。短いが、疲れ切った足には結構つらく、「またかよ」「いいかげんにしてくれ」と悪態をつきたくなるが、これまでのアップダウンを思えば御愛嬌と許してあげよう。

ゴールでは、一人一人にゴールテープを張ってくれて、名前をアナウンスしてくれて、そして右のような写真を撮ってくれる。これはうれしい。こんな写真を撮ると知っていればロケットのポーズでゴールテープを切るんだったと悔やむのは筆者だけだろうか。

ミッション・コンプリート。おめでとう。

その他

エイド

エイドは手厚い。給水ポイントは、10.7kmの雄龍雌龍の岩公園を始めとして、その後31.5km地点までは約5km間隔で、その後は約2.5km間隔で、配置されている。給水ポイントには、水、ポカリスウェット、バナナ、レモン、そして、種子島の名産品である、黒砂糖のブロック、かからん団子、ふくれ菓子が置いてある。写真の真ん中の緑の丸いものがかからん団子である。甘いよもぎ餅がかからんという木の葉っぱに包まれている。餡の無いかしわ餅を連想して頂ければ良いと思う。写真のラップでくるまれた四角く茶色いものがふくれ菓子である。蒸しパンのようなもので、甘さは控えめだ。また、給水ポイントには、サロンパスや瞬間冷却材なども置いてある。レース後半には重宝する人もいるだろう。それから、スポンジポイントが各給水ポイントの中間地点に配されており、暑い日のレースの時には重宝すると思われる。

参加賞

参加賞は、黒砂糖と焼酎。写真の右側のペットボトルが焼酎だ。アルコール度数は15%と低いが、水と誤ってレース前に飲まないように注意しよう。それから、ゴール後に、タオルとアミノバリューがもらえる。

ウェルカムパーティ

大会前日には、種子島宇宙センターの見学とウェルカムパーティが催される。いずれも希望者のみの任意参加だが、どちらも参加された方が良いと思う。特に、種子島宇宙センターの見学は、是非是非是非是非参加されることをお勧めする。他では見ることのできない内容である上、説明をして下さる女性のプレゼンテーションが素晴らしい。マイクとパネルを効果的に使い、非常に分かりやすく、聴き取りやすく、そして、よどみなく、説明してくれる。決まった内容だけでなく、時事ネタも織り交ぜるあたりは、よく勉強されているなと感心する。
ウェルカムパーティは、会費1,000円に対して十分すぎる内容だ(写真)。地元名産の安納芋(あんのういも)のふかし芋と大学芋は超美味。そのほか、おにぎり、いなり寿司、巻き寿司、そばなど、炭水化物は豊富に用意されており、カーボローディングもきちんとできる。もちろん、さつま揚げや刺身、揚げ物など、つまみ系も用意されている。また、スポンサーさんのお陰で飲み物にも困らない。インギー鳥を使った料理が無いのが残念だが、それはレース後の楽しみとしよう。

それでは、Good Luck!

コメント

ハリー さん

4

かなり過酷なコースです。

2008年の第21回は大雨と強風で更に過酷さが増しました。