肺癌とイレッサについて

T. ケリー・ターナー著『がんが自然に治る生き方』を読んで

『がんが自然に治る生き方』は、2014年11月発行後すぐに、Amazon.co.jpで「ガン関連」書籍ベストセラーの1位にランクインした本です。

原題は「Radical Remisson」(「劇的な寛解」)で、劇的な寛解に至った人たちが実践している「9つのこと」が紹介されています。

「劇的な寛解」とは、がん患者において以下のいずれかが起こったことを指します。

  1. 医学の標準治療(手術、抗がん剤、放射線)を一切用いずに、がんが検知できなくなった場合
  2. 標準治療を受けたががんは寛解せず、代替医療に切り替えてから寛解に至った場合
  3. 統計的にみて余命が極めて短い(5年生存率で25%未満)がん患者が、現代医療と代替医療を併用したところ、統計を上回って生存している場合

そして、著者によれば、その「劇的な寛解」に至ったがん患者の「ほぼ全員」が次の9項目を実行したとのことです。

  • 抜本的に食事を変える
  • 治療法は自分で決める
  • 直感に従う
  • ハーブとサプリメントの力を借りる
  • 抑圧された感情を解き放つ
  • より前向きに生きる
  • 周囲の人の支えを受け入れる
  • 自分の魂と深くつながる
  • 「どうしても生きたい理由」を持つ

本当に9項目必要か?

まず、読み始めて最初に浮かぶ疑問は、「本当に9項目すべて効くのか?」あるいは「本当に9項目すべてやらないといけないのか?」ということです。

多くのがん患者は、いろいろなことに手を出します。そのため、寛解に至っても、どれが効いて、どれが効かなかったのか分かりません。筆者もこの点に関し、きちんとフィルタリングできておらず、以下のようにごまかしています。(p.357)

この本に登場する全員が、九項目のうち八つか九つすべてを、人によってはそれ以上の要素を実行して、治癒に至っていました。一つの要素だけで治ったという人はいなかったのです。
一つの病気には一つの治療法がある ~ つまり症状と治療法の一対一関係を常識にしてきた西洋医学の研究者には、これは不可解なことかもしれません。これさえやれば治るという治療法があればよいのですが、そういうわけにはいかないようです。がん生還者が多角的にがん克服に挑んできたのは、がんという病も、わたしたちの身体・心・魂の三位一体システムも、多面的な構造を持っているからでしょう。

しかし、これでは、9項目のうちの1つが、それ単独で効くのか効かないのか、どれかと組み合わせれば効くのか効かないのか、どれかと組み合わせて効くのであれば何と組み合わせれば効くのか、ということを判斷することはできません。このことに関し、医療関係者でない私が主張しても説得力がありませんので、医療ジャーナリストで京都薬科大学客員教授の北澤京子さんが『「血液をサラサラにする薬」 アスピリンの効果と限界』という記事でお書きになられているのを以下に引用します。

薬(やサプリなどを含め、治療法・予防法なら何でも)が効くかどうかを判断する際には、その薬を飲んだ人のことだけで考えてはいけないということです。飲まなかった人との比較でなければ、薬が効いたかどうかは分かりません。このことは、いくら強調してもしすぎることのないくらい重要だと、私は思います。

そこで、私自身の場合に当てはめてフィルタリングしてみようと思います。(これは、私の場合はどうであったかのみを示すものです。一般的な結論を導き出すものではありません。)

肺がんステージⅣの5年生存率は4%、2年生存率は19%で、私は手術後2年経過して、体には癌細胞は一切みられませんので、上記の「劇的な寛解」の定義の3番に十分該当します。

私は、他のがん患者と異なり、治療当初から「何が良くて何が良くないのか」を見極めるために、敢えていろいろなことに手を出しませんでした。そのため、筆者が「ほぼ全員」実行したとする9項目のうち、私に当てはまるのはわずか2項目です。食事に関しては、肺がんの手術前後でほとんど変えておらず、結果として、「劇的な寛解に至ったがん患者のほぼ全員が実行したこと」とはまったく真逆のことをしています。

劇的な寛解に至ったがん患者のほぼ全員が実行したこと私の場合
抜本的に食事を変える当てはまらない。
むしろ、「皆こうした」と書いてあることと真逆のことをしている。
治療法は自分で決める当てはまらない。
病院の治療方針に沿ってる。
直感に従う当てはまらない。
ハーブとサプリメントの力を借りる当てはまらない。
抑圧された感情を解き放つ当てはまらない。
自分の魂と深くつながる当てはまらない。
「どうしても生きたい理由」を持つ当てはまらない。

食事について

前述の通り、私は、肺癌の治療にとって何が良くて何が良くないのかを見極めるために、敢えていろいろなことに手を出しませんでした。食事に関しても入院前後で変えませんでした。ただ、イレッサの副作用でGOT/GPTが急性肝炎レベルまで急上昇したときには、その対策としてタンパク質の摂取量を増やしました。GOT/GPTの上昇は肝細胞が破壊されていることを示しており、その修復のためにタンパク質が多く必要とされるためです。その後、イレッサの服用量を半減して、GOT/GPTは正常値に戻りましたが、イレッサが肝臓に負担をかける薬であることが分かったので、タンパク質多めの食事は継続しています。肺がんの治療のために、あるいは、再発防止のために、というよりは、イレッサの副作用に対処するために食事を若干変えたという感じです。

そのため、私の食事の内容は、『がんが自然に治る生き方』で、「大多数の人に共通している」とされる内容(p.22)と大きく異なります。

劇的な寛解に至ったがん患者の大多数の人に共通する食事の内容私の場合
砂糖、肉、乳製品、精製した食品を大幅に減らすか、まったく摂取しない当てはまらない。
野菜と果物を大幅に増やす当てはまらない。
有機(オーガニック)食品を選ぶ当てはまらない。
浄水器の水を飲む当てはまらない。

(1) 「砂糖、肉、乳製品、精製した食品を大幅に減らすか、まったく摂取しない」について

砂糖も肉も乳製品も精製した食品も、相変わらず摂っています。それどころか、ヨーグルトは毎朝たっぷり摂るように心がけています。

私はかつて花粉症でした。ところが、ヨーグルトを毎朝たっぷり摂るようにしてから、花粉症が治り、かつ、風邪もまったくひかなくなりました。これは、ヨーグルトで腸内環境を整えることにより、免疫機能が正常に、かつ、強力になったことを意味しています。

こうした状態で肺がんになったので、私は、免疫機能の異常や衰えのために肺がんになったとは考えていません。また、ヨーグルトが原因で肺がんになったとも考えていません。むしろ、イレッサの副作用である間質性肺炎が風邪やインフルエンザをきっかけに発症するリスクがあるため風邪にかかりにくい身体にするために、また、免疫療法が確立された時にその効き目を最大化するために、免疫機能の維持・正常化・強化が重要であると考えており、そのために、引き続きヨーグルトを毎朝たっぷり摂るようにしています。

もちろん、乳酸菌は、ヨーグルトからだけでなく、お漬物や納豆など他の発酵食品からも摂ることができますが、他の栄養素の摂取も考えてヨーグルトを選択しています。

また、イレッサの肝機能障害対策として、肉・魚・卵・納豆などタンパク質を多く含む食品を多めに摂るように心がけています。お肉大好きです!

(2) 「浄水器の水を飲む」について

アメリカの水道水の水質と日本の水道水の水質とは大きく異なりますので、これをそのまま日本に当てはめるのは無理があると思われます。

私は、水道水を飲んでいますし、食事にもご飯を炊くにも水道水を使っています。

『がんが自然に治る生き方』には書かれていないが、私が実践していること

『がんが自然に治る生き方』には独立した章として書かれていませんが、私が実践して、これは肺がんの治療に良い、と感じていることがあります。

それは、日中、屋外で、陽の光を浴びて、適度に運動することです。

肝機能障害が見られるときは安静にしていましたが、肝機能障害が収まってからは適度に身体を動かすように心がけています。

人間の体は、適度に動かすことで正常に機能するようにできています。特に下半身を動かすことが重要です。また、太陽の紫外線は、浴びすぎると良くありませんが、適度に浴びてビタミンKの生成を促すことはがん治療には有効であると考えています。

私が肺がんの患者の皆さんに実行をお勧めするのはたった2項目です。

  • Be Positive(前向きに、できれば目標を持って)
  • Be Active(屋外で適度に運動を)